こんにちは。講師の中村(元)です。
さて、数学の新しい単元の勉強を始めるにあたって重要なことはなんでしょうか。それは教科書を「理解する」ことだと考えています。
数学は高度に論理的な学問ですから、話のつながりには必ず「AだからBである」といった因果関係が存在しています。これは簡単な問題を解く際にも出てくる考え方で、難しく考える必要はありません。例えば、「2次方程式が出てきた、だから因数分解をしよう」という考え方は2次方程式を習えばすぐにできるようになるはずです。
まず「数学ができる」とはどういうことでしょうか。
ある問題の仮定をA、導きたい結論をZとします。「AだからB」、「BだからC」、「CだからD」、・・・「YだからZ」が成り立つから「AだからZ」である、という因果関係を導く能力の高さが「数学ができる」ということです。
ではその能力はどうすれば身につくのでしょうか。
「理解する」とは単に「暗記する」こととは異なります。もちろん必要な用語は覚えなければなりませんが、例えば教科書に載っている証明を丸暗記する必要はありません。結論から言うと、教科書に載っている「AだからBである」といった因果関係の意味がわかることが「理解する」ということです。
すなわち、教科書に書かれている「AならばBである」の部分をすべて理解しようとすることから数学の勉強は始めるべきと言えます。問題の解き方を覚えるところから始めるとこの能力がなかなか身につかず、応用問題、ひいては文章問題に対応できない、といった現象が起こります。もちろん解法を覚えることは数学の問題を解く上で大きなウェイトを占めるポイントですので、軽視していいということではなく、「理解する」ことが先に必要だということです。
私も大学受験に向けて数学を勉強を始めるにあたってまず最初にしたことは、高校3年間の教科書をすべて引っ張り出して、その内容を「理解する」ことからでした。すべての教科書の因果関係を「理解した」と思えるようになるまでは問題を一切解かずに読み続けました。
この「理解」と「暗記」の違いは少し難しいと思いますし、実際「暗記する」ことが「理解する」ことにつながるのも確かです。だからこそ勉強する際には「なぜこうなるのか。」「なぜこのような考え方をする必要があるのか。」といった疑問をもっと持ちながら考え、暗記してほしいと思っています。